NLP用語集: ま
- 【ミラーリング】 普通のミラーリングはミラーというだけあって、向かい合ったときに、鏡に映った姿のように身振りや仕草を真似るのが一般的な方法です。相手の動きに対して、右手を上げたら左手を上げるというように鏡に映る自分のように真似ることでミラーニューロンが働きます。
- 【水平ミラーリング】 水平ミラーリングは隣に座った時に、同じ動きをすることで、ミラーニューロンを働かせます。先ほどの普通のミラーリングと違って、左右が逆になります。視覚的には映っていなくても、ミラー・ニューロンはどうやら「一部を観察すれば察する」ことが出来るので、隣で同じような動きをしていてもミラーリングの効果があります。
- 【交差ミラーリング】 交差ミラーリングは、相手が腕を組んでいたら、自分は足を組むのように、少し違う場所などで真似る方法です。相手が腕をのばしたら、こちらは足をのばすという動作でも、真似をするという意図が無意識レベルでは伝わり、ミラーリングとして効果を発揮します。
マインドフルネス
マインドフルネスとは、簡単に言えば「今この瞬間の自分の気持ちや体の状態に気づけるような心の在り方」のことをいいます。
私たちは普段の生活の中で常に何かを考えながら暮らしています。何もしていなくても脳は常に働き、ゆっくりと休むことはほとんどありません。そのため、いつのまにか体や心が疲弊してしまっていることに気づけずにいるのです。
マインドフルネスは、今の自分自身に意識を向けることで、そんな日常の雑念から体や心を休息させるためのものです。最もメジャーなのが「マインドフルネス瞑想」でただ静かに自分の呼吸に意識を向ける、たったそれだけで驚くほどの効果を得ることができると言われています。
マインドフルネス(mindfulness)とは、古くから仏教の教えとして伝わる心の操縦術、ティク・ナット・ハン師の活動によって世界でも有用な技術として伝わっていっています。
マインドフルネス(mindfulness)は、今現在、自分に起こっている内面的な経験および外的な経験に注意を向ける心理的な過程です。
心が整った健全な状態で、現実を判断や批判なくあるがまま受け入れ認識することを行います。
有名なところでは、スティーブ・ジョブズ(故:アップル共同設立者)、ビル・ゲイツ(マイクロソフト創業者)、イチロー(日本人メジャーリーガー)なども取り入れており、また近年ではGoogleの社員研修に導入されてきたことでも有名となっています。
マインドフルネスを実施すると、ストレスな場面においても否定的な感情や物事にとらわれ飲み込まれることなく、いつでも自分を取り戻すことができるようになります。
人は、大きなストレスにさらされると心身は緊張し、そのことにとらわれ身動きが取れなくなってしまいます。
がんじがらめになり、ネガティブな状態でかたくなった心は、閉ざされ弱くなってしまいます。
マインドフルネスを習得できるとストレスをしなやかに対処することができます。
マインドフルネスを実施すると、ストレスシーンにおいて否定的な感情や物事にとらわれ飲み込まれることなく、いつでも自分を取り戻し心身を健全な状態にすることできるようになります。
マインドフルネスの効果 マインドフルネスによって雑念を捨て、今この瞬間に集中するのを繰り返すことで、集中力を高めることができるようになります。また、頭の中でついネガティブな方向に考えが傾いてしまう方も、頭の中に渦巻く感情に飲み込まれることがなくなり、精神的、肉体的に安らかな気分でいられるようになります。
また、思考が整理されやすくなることで、洞察力や直観力、想像力などが高まるため、自分でも思いもよらない能力を発揮できることができるようになります。
そして交感神経と副交感神経のバランスを整えやすくなり、肉体的な緊張状態が和らぎ、ストレスの軽減や疲労回復、安眠効果などを得ることができます。
私たちは普段の生活の中で常に何かを考えながら暮らしています。何もしていなくても脳は常に働き、ゆっくりと休むことはほとんどありません。そのため、いつのまにか体や心が疲弊してしまっていることに気づけずにいるのです。
マインドフルネスは、今の自分自身に意識を向けることで、そんな日常の雑念から体や心を休息させるためのものです。最もメジャーなのが「マインドフルネス瞑想」でただ静かに自分の呼吸に意識を向ける、たったそれだけで驚くほどの効果を得ることができると言われています。
マインドフルネス(mindfulness)とは、古くから仏教の教えとして伝わる心の操縦術、ティク・ナット・ハン師の活動によって世界でも有用な技術として伝わっていっています。
マインドフルネス(mindfulness)は、今現在、自分に起こっている内面的な経験および外的な経験に注意を向ける心理的な過程です。
心が整った健全な状態で、現実を判断や批判なくあるがまま受け入れ認識することを行います。
有名なところでは、スティーブ・ジョブズ(故:アップル共同設立者)、ビル・ゲイツ(マイクロソフト創業者)、イチロー(日本人メジャーリーガー)なども取り入れており、また近年ではGoogleの社員研修に導入されてきたことでも有名となっています。
マインドフルネスを実施すると、ストレスな場面においても否定的な感情や物事にとらわれ飲み込まれることなく、いつでも自分を取り戻すことができるようになります。
人は、大きなストレスにさらされると心身は緊張し、そのことにとらわれ身動きが取れなくなってしまいます。
がんじがらめになり、ネガティブな状態でかたくなった心は、閉ざされ弱くなってしまいます。
マインドフルネスを習得できるとストレスをしなやかに対処することができます。
マインドフルネスを実施すると、ストレスシーンにおいて否定的な感情や物事にとらわれ飲み込まれることなく、いつでも自分を取り戻し心身を健全な状態にすることできるようになります。
マインドフルネスの技法
マインドフルネス瞑想
背筋を伸ばして姿勢を整え、深呼吸を1~2回行います。目を閉じて鼻からゆっくりと呼吸します。自分の呼吸に意識を向けて、呼吸によってお腹がふくらんだり、へこんだりしているのをただ感じてください。何か雑念が沸いたら無理にそれを振り払おうとせず、素直にそれを受け入れながらゆっくりと呼吸を繰り返し瞑想を続けます。ウォーキングメディテーション
歩きながら「右足、左足、右足、左足・・・」と足の動きを感じつつ、自分の呼吸や足の裏が地面を踏む感覚、全身の動きなどに意識を向けます。歩ている自分をじっくりと観察するようなイメージで行います。また、思考が整理されやすくなることで、洞察力や直観力、想像力などが高まるため、自分でも思いもよらない能力を発揮できることができるようになります。
そして交感神経と副交感神経のバランスを整えやすくなり、肉体的な緊張状態が和らぎ、ストレスの軽減や疲労回復、安眠効果などを得ることができます。
マッピング
ある状況において、個人の表出体系と眼球動作パターンが固有であり、両方から特定できる過程を言う。
ミラーリング
ミラーリングは、コミュニケーションにおいて安心感を伝える心理スキルです。
コミュニケーション時に、相手と同じような動作や姿勢・しぐさ・表情などをすることで、無意識レベルで相手のミラー・ニューロンに働きかけ、相手の心理状態に「似ている=仲間」という体験を起こします。
人は「似ている人」や「共通項のある人」に心を許す傾向があります。
同郷の出身や同じ趣味、同じサークル、学校、職場などもそうですが、価値観や考え方なども当てはまります。
そして、それらとは別に同じような動作や姿勢・しぐさや表情でも心を許すことがわかったのです。
仲の良いグループがお茶をしている場面を想像して下さい。
おそらく、皆が同じような動きをする瞬間を多々見受けることと思います。
これは、心が同調している証拠で、このような時には、皆が話しやすい雰囲気で時間がたつのも忘れて会話をしていることでしょう。
心理学ではカウンセラーはクライエントに対して「無意識レベルの良好な関係性=ラポール」を築きます。
ミラーリングの具体的な方法は次のような3つがあります。
それは、あまりにも合わせすぎると相手が違和感を感じてしまい、逆効果になるということです。
コーチやカウンセラー、ビジネスなどでも使われることがありますが、あまりにやりすぎると、胡散臭い人になってしまい「何をされるんだろう…。」と防御されてしまいます。
すると、あなたの意図「信頼関係を構築したい」とは、真逆の結果を導き出してしまいますので、注意が必要です。
このミラーリングの欠点を補うやり方がじつはあります。
例えば大きくうなづいている相手に対して、少しうなづくだけでOKというものです。
同じ動きや姿勢・しぐさ・表情ではなく、少しだけ合わせるイメージをするように動くことが大事だと言っています。
ジョン・グリンダー博士はこのことを「極微筋肉動作で合わせるミラーリング」とおっしゃっていました。
未来ぺーシング(フューチャーぺーシング)
変化ワーク演習後に、演習効果を未来の目的達成時に連結すること。
ミルトンモデル
精神科医で天才催眠療法家であるミルトン・エリクソンが使っていた言語モデル。抽象的な言葉や前提的な言葉を使用することで、相手自身が変化していくテクニック。
ミルトンモデルとは、ミルトン・エリクソン博士のクライアントに対するセッションの会話方法から、体系的かつ具体的に抜き出した催眠言語パターンです。
催眠言語パターンはクライエントの状態に変化を与えるために使うものです。
ミルトン・エリクソン博士は、精神科医で天才催眠療法家でもある方で、NLPの研究対象となる人です。
ミルトン・エリクソン博士がどのようにクライエントの状態を導いていったか、その特徴的な言葉遣いを、次の12パターンでおおまかに説明します。
1:単純接続詞
もっとも弱い「つなぎ」を作りだし、クライエントの状態を誘導します。
単純接続詞の「そして」を使う言い方です。
2:暗示的原因
先ほどの「そして」よりも少し強い「つなぎ」で時間的な関連性を確立しながら表現します。
「の時」「につれて」「の間に」などの言葉です。
3:原因と結果(意味論的な不適格性)
因果関係ともいいます。もっとも強い「つなぎ」です。
「~することで」「~によって」などという言い方です。
意味論的な不適格性とか、意味論的な誤形成などと言いますが、要は「意味的に関連性のないもの(間違っているもの)を、むりくりくっつけました。」という意味です。
4:不特定指示指標
「あなたは【ある感覚】に気が付くことが出来ます。」というフレーズに表れるのが不特定指示指標です。
ある感覚と言われて、それを聴いているクライエントは、自分の何かの感覚を自由に感じます。
指示指標がない表現をされて、自由に選べるような言葉遣いをするのです。
不特定の動詞や名詞を投げかける使い方です。
5:選択制限違反
「あのトマトの苗木は喜びで溢れています。」というフレーズに表れます。
トマトの苗木は感情を持たないわけで、感じることが出来るのは動物や人間しかいません。
これは、言語学者が「選択制限」と呼ぶものを「破る、違反する」行為です。
するとクライエントの無意識は喜びで溢れます。
6:削除(省略)
削除は、文章中の様々の言葉を削除します。
その方が、クライエントが自由に自分に当てはめて聴くことができて、無意識が動くからです。
例えば、次の普通の文章を催眠言語的に削除します。
主語を削除しているものを主体の省略と言います。
7:名詞化
普通の名詞は触れるものです。例えば本や靴、野菜など具体的なものです。
名詞化は、名詞の形をしていても触れない抽象的なプロセスを表す言葉のことです。
例えば「奇跡、愛、催眠、学習、体験、理解」などです。
8:読心術
クライエントの心がわかるかのように話しかけますが、具体的なことは言いません。
あたかも心を読んでいるかのように話します。
9:前提
「あなたは自分が深い催眠に入っていることに気づいているだろうか、と私は思っています。」のようなフレーズです。
意識は「深い催眠に入っていることに気づいています」という答えと、「深い催眠に入っていることに気付いていません」という答えが出せます。
いずれも前提が「深い催眠に入っていること」になっていて、「気づくかどうか?」に問題をそらされています。
また、「まだ浅い催眠です」という答えと「はい深い催眠です」という答えも出せます。
これも「深さ」に意識をそらされて、催眠に入っていることが前提になっているのです。
前提が2重になっている例です。
10:会話の公準(要請)除法助動詞
難しい言い回しですが、「両手を太ももの上に置くことはできますか?」や「その扉を閉めることは出来ますか?」というフレーズに表れます。
「出来ますか?」と言われたクライエントは「はい、出来ます」という返事だけではなく「手を置く」「扉を閉める」という行動もします。
出来ますか?と聞きながら実は命令をしています。
11:より小さい構造の包含(挿入命令、挿入質問)
直接的な命令や質問はコミュニケーション相手が、身構えてしまうばかりでなく、拒否されることもあります。
この命令や質問を大きな文章の中に入れて、和らげて表現することで、聞き手の抵抗なく命令や質問への答えを得ることが出来ます。
また、否定命令という方法もあります。
「そんなに急いでリラックスしてはいけません」という文章ですが、私たちは想像してから消すということしかできないため、「急いでリラックス」する方向へ無意識は動いてしまいます。
12:アナログ・マーキング
会話中のキーワードになる言葉や、文章の時に、非言語の声の調子などを意図的に変えるやり方です。
「あなたが私の言葉を聞くたびに、どんどんリラックスしていきます。
「リラックス」という時に、前後の調子と変えることで、クライエントの無意識がより反応を示すようになります。
参考
リチャード・バンドラー/ジョング・リンダー著『魔術の構造』(亀田ブックサービス 2000/8/18)
リチャード・バンドラー/ジョン・グリンダー著『ミルトン・エリクソンの催眠テクニックⅠ言語パターン篇』(春秋社 2012/4/30)
メタ
~を超えて、~の上に(ウィキペディア)
メタファー
メタファーとは、コミュニケーション相手に対して心理的な変容や理解の深さを促す比喩表現のことです。
たとえ話には「比喩」がたくさん盛り込まれています。
メタファー(比喩)には、意識の抵抗をすり抜けて、説得力や理解力を増す力や、無意識に届いて相手の心の変化を促す力があります。
例えば、昔話や童話、大昔の神話や宗教などの話、漫画や小説なども比喩は多く用いられていて、聞き手の心を揺さぶります。
皆さんの中にも好きな映画や物語に心打たれて、生き方が変わるという経験をした方もいるでしょう。
NLP(神経言語プログラミング)では、この比喩(メタファー)の力を、心理の変容や会話の影響力の強化に使います。
【メタファー(比喩)の種類と使い方】
比喩は様々な種類があります。
コミュニケーション時に意図的に使うと、相手の心を動かし感情に訴え、行動を促しやすくもなります。
また、知らず知らずのうちに相手の心を軽くしたり、成長をさせることもできます。
NLP(神経言語プログラミング)で使われる言語的な比喩には以下のようなものがあります。
比喩を使うと意識の抵抗をすり抜けやすく、無意識の変容を起こしやすかったり、理解力を深めてあげることが出来るのです。
【直喩】
直喩とは「~のような」「~みたいな」などのように、直接的に明瞭な表現を使って理由が説明されているたとえの表現方法です。
次のような例があります。
・彼女の聡明さは量子コンピューターのようだ
・この部屋の寒さは冷蔵庫みたいだ
【隠喩】
上のような直接的な理由が説明されずに、聞き手の想像に任される表現方法です。
次のような例があります。
・彼女は量子コンピューターだ
・この部屋は冷蔵庫だ
【引用】
自分が伝えたい内容を、別の権威のある人間や他の誰かが言ったことにして伝える技術です。
権威のある人の話にすると自然と説得力が増し、コミュニケーション相手の心に刺さりやすくなります。
有名人など名言は、まさに引用表現になります。
次のような例があります。
NLPでも幸せについて話をしますが、「今ここ」だけを感じていればずっと幸せです。
マザーテレサも言っています。
「今、この瞬間を幸せでいましょう。それで十分です。その瞬間、瞬間が、私たちの求めているものすべてであって、他には何もいらないのです。」
【自然形】
相手にとって自然な形の物事や出来事を活用して例えることで、相手の理解を促す方法です。
ミルトン・エリクソンはある花屋(がんで余命一か月)のペインコントロール(痛みの軽減)をしました。
その時、ミルトン・エリクソン博士が使った話題は「トマト」の話でした。
花屋のジョーにとって身近な「植物の話題」でイメージをしやすくした自然系の比喩の例です。
また、主語をジョーではなく、トマトの苗木にしながら「トマトの苗木は気持ちよく感じることができます」というような比喩表現も多用しました。
この場合、主語を自分に当てはめて聞くということが自然に起きるので、結果としてリラックスを促すことになります。
【生きた比喩】
生きた比喩は、今まさに起きていることを活用して説明する方法です。
「月がきれいですね」という言葉は、夏目漱石が「I Love You」を訳した言葉だそうです。
デート中にお月様を見ながら、月がきれいですねと言われたら愛の告白でしょうね。
【ストーリーの力】
物語や昔話や童話、神話などはストーリー仕立てになっており、ストーリーはとても力があります。
ストーリーの聞き手は、物語の中において自分を誰かに投影しながら、教訓などを受け取ることが出来ます。
例えば、子どもの頃に好きだった漫画やアニメが性格に影響することもあるのです。
逆に争いの場面を多く見ている子どもは、我慢強さが足りなく、喧嘩をしやすいと言われます。
メタファーは相手の無意識に届き、相手の心を変容させます。
メタファーはアドバンスドNLPベーシックコースで学ぶことが出来ます。
メタポジション
状況を全く超えた立場。観察者としての立場。
メタモデル
NLP(神経言語プログラミング)で一番初めに研究されたのが、「脳が外界を認識する3つの仕組み、一般化・削除(省略)・歪曲」と「それを表す12の言語表現」であると言われ、これらをメタモデルと言います。
そして、クライエントの悩みを表現する「12の言語表現」パターンに対して、「12の質問法」=「メタモデル質問法」のパターンを使って言語的に解決を促していることが分かったのです。
ものすごく簡単に説明すると、「悩んでいる人が話すパターンが12個あって、それを解消するパターンが12個あって公式的に抜き出しました」ということです。
悩んでいる人は、主観的に囚われているので、解消するメタモデル質問法を投げかけることで、この囚われが緩むことが発見されたのです。
脳が外界を認識する仕組み(一般化・削除・歪曲)NLPでは、私たちの脳は常に「普遍的モデリング法則」が働いていると言います。
私たちは「経験」を記憶するのに事実だけを選択することは出来ません。
常にこの3つの働きにより、無意識に取捨選択や解釈が起きます。
一人ひとりの経験は生まれた時の親の経験から始まって、常に経験をし続けています。
だからこそ、認識の違いが起きて、個々に個性が出来ます。
コミュニケーション、特に会話においては、すれ違いで悩む人も多いと思います。
それはすべての人が、脳の3つの仕組みのために違う地図を持っているからです。
「地図」は経験で出来た「あたな用の色眼鏡」です。
私たちは、この色眼鏡を外して物を経験することは不可能です。
だとすれば、そもそも違う地図を一人ひとり持っているので、言葉のすれ違いは当たり前という前提のもとに、相手とコミュニケーションをすることが重要なのではないでしょうか?
それでは、私たちの「地図」作る脳の仕組み、一般化・削除(省略)・歪曲を見てみましょう。
一般化とは、ある出来事や体験を基にして、自分なりにルール化してしまうことです。
私たちの多くの行動は、すでに経験された類似した行為の断片から成り立っています。
この類似のおかげで、私たちは過去の行動の経験に基づいて一般化をおこない、新しい行動をゼロから学ぶことを不要にしています。
そういう意味では、一般化は私たちの学習速度を上げてくれます。
一方で、一般化は制約として働く場合に問題があります。
削除とは、経験から一定の経験要素を削除して無意識化することです。
削除という仕組みは、脳が処理能力の超過を回避する仕組みです。
人間の中枢神経には毎秒200万個以上の情報が入力されていると報告されています。
もしも、この情報のすべてが処理されているのならば、膨大の時間がかかり一人の人生では足りません。
そのため、削除という過程が人間が生きる上で必要なのです。
私たちは、経験に焦点をあてて理解するために、削除が起き、盲点が出来ます。
歪曲とは、物事をゆがめて取る能力です。
ある意味人間らしい能力で、自然界にないものを作り出す創造力を発揮する能力でもあります。
これによって芸術、音楽、文学作品などを楽しむことが出来ます。
ただ、マイナス面では言葉通りで、物事に対して歪みや誤解を生じます。
では、12の言語表現と対応するメタモデル質問法を見てみます。
上の脳の仕組みは、メリットもデメリットも持っています。
言語学を元にした表現で難しいものがありますが、内容だけでも見てみてください。
メタモデル質問法は相手に「新たな視点を思い出させたり、違う考え方や可能性を提示したり」する方法です。
一般化されている表現に対しては、クライエントの内的な世界地図を拡張してあげることで囚われを抜け出すことが出来ます。
①必然性(必要性)/可能性の除法機能詞(助動詞)
必然性:「男は感情を外に出してはいけない」
(行動の規則や制限を示唆しています)
→ 「もし、男が感情を外に出したら、何が起こりますか?」
(規則の元になっている結果を特定します)
可能性:「私はこの状況を学ぶことが出来ない」
(行動の規則や制限を示唆しています)
→ 「あなたがこの状況を学ぶのを何が妨げていますか?」
(問題の症状の原因を特定します)
②前提
「もし私の苦しみがわかっていたら、あの人はああいう風には行動しないでしょう」
(文章が意味をなすために、必然的にあることが含蓄されています=あの人は私の苦しみがわかっていない)
→「あなたの苦しみを彼がわかっていないということがどうわかるのですか?」、「あなたはどのように苦しんでいますか?」、
「彼はどう行動していますか?」(文章中に前提になっているプロセスと関係に異議を唱えます)
③普遍的数量詞
「彼は常に不機嫌だ」
(広範な一般化を示す使い方です)
→「彼は常に不機嫌なのですか?」、「不機嫌でなかったことはありませんか?」
(制限的な一般化を否定する事例=例外を特定します)
削除は文字通り情報が削除されています。
削除された情報を収集し回復することで、クライエントに新たな気づきが起きたり、カウンセラー側がクライエントの内的な世界観をより知ることが出来ます。
④単純削除
「私は動揺しています」
(文章の表層構造から重要要素が削除されている)
→「特に何に対して動揺しているのですか?」
(削除された要素を回復する)
⑤比較対象の削除
「そのアイディアはさらにいい」
(文章の表層構造から比較対象が落ちている)
→「そのアイディアは何よりもさらにいいのですか?」
(比較対象を特定する)
⑥不特定の参照インデックス
「人々は学習しない」
(名詞または代名詞が特定されていません)
→「特にどの人々が学習しないのですか?」
(誰を参照しているか明確化します)
⑦不特定動詞
「私はあの人を嫌っています」
(行為または関係性が定義されていません)
→「特にどうあなたはその人を嫌っているのですか?」
(行為または関係性を定義します)
⑧名詞化
「その関係は終わった」
(本来はプロセスまたは活動であるものが物のように見なされています)
→「特に誰が誰に対してどう関係していたのですか?」
(物になっている活動をプロセスに戻します)
歪曲は、A=Bのように一見関係ないものを結びつけて意味づけすることです。
そのA=Bに対して、「違うかもしれないですよ?」と異議申し立てをする質問の仕方で、クライエントの囚われを外します。
⑨因果関係
「彼のしゃべり方が、私を不快にさせる」
(ある人の心理状態は他者によってコントロールされることはないと想定されます)
→「特にどう彼のしゃべり方があなたを怒らせるのですか?」
(前提になっている原因と結果の因果関係を明確化します)
⑩読心術
「彼は私のことをかまっていない」
(他人の心は読み取れないと想定されます)
→「特にどう、彼があなたのことをかまっていないことがわかるのですか?」
(他人の心理状態の基準を明確化します)
⑪複合等価
「あの子は成績が悪いから、学習障碍児だ」
(2つの概念が同じことを意味するかのように結びついています)
→「成績が悪いことが、特にどう彼が学習障碍児であることを意味するのですか?」、「もしあなたの成績が悪い場合、あなたは学習障碍児であることを意味しますか?」
(複合等価で含蓄された関係の妥当性を確認)
⑫行為者(基準)消失
「それは悪い考え方だ」
(誰が判断をおこなったのか、どのようにその判断が生まれたかが省略されています)
→「それは誰にとって悪い考え方なのですか?」
(判断者と基準を明確にします)